Midnight Shine

―――唄。
聞こえる。
彼女の声だ。

だが…それはものすごく、悲しそうで。

「こんな夜中まで起きて…どうしたんですか?」
「―――大佐こそ、どうして?」

私の部屋に?

「いえ、唄が聞こえたもので」
「あ…」

聞こえてましたか?
聞かれ、ジェイドは私は耳が良いですから、と返す。

「…眠れないんです、ここ最近」
「ルークがレプリカだと判った辺りからですね」

ずばっと言うジェイドに俯く

「…ルークがレプリカだと判って…、もしかしたら、私もレプリカなんじゃないかと思って」

そう考えて、答えを模索した。
だが答えなど見つからない。
自分で切り開かなければ先の未来は見えぬ。

「何故ですか」
「なんとなくです」
「…貴方がレプリカなはずないでしょう」

この私が言うんですから。
そういうジェイドにそうですね、と返すとまた視線を泳がす。

月明かりが少女を照らす。
普段気丈に振舞っている彼女が月明かりで一層儚く見えた。
手を伸ばしたら消えてしまいそうなほど。

けれど、姿が消えることは無く、ジェイドの腕の中には少女が1人。

よかったと。
消えてしまわなくて良かったと胸を撫で下ろし、 を見る。

「…大佐?」

どうかしたんですか?
そう尋ねて。

「いえ、貴方が消えてしまいそうだったので」

今すぐにも消えてしまいそうで。
消えてしまうのが怖くて。
彼女を、抱き寄せた。

そして、 の顎に手を宛がい、 の顔を上げるとそのままキスをした。

唇が離れて、まるで金魚のようにぱくぱくと何かを言おうとする の口をもう一度塞ぐ。
2度目の口付けから開放されて、 はジェイドから視線を逸らす。

「貴方が美しいのがいけないんですよ」
「ん、な…っ!!!」

また、赤くなる。
すぅっと目を細めてジェイドは笑う。

呼ばれて、素っ頓狂な声を上げる

「そろそろ、寝た方が良いですよ」

お休みなさい。
そう言って扉の向こうへジェイドが姿を消すと同時、床にへたり込んだ。

「いきなりなんなんですかあの人…」

盛大な溜息を一つ。
頬を紅潮させた少女が吐き出したのだった。

BGM:月蝕グランギニョル(ALI PROJECT)
2006/04/04