Though it is an enemy.

「逃がすかっ!!!!」

この時私は必死過ぎて忘れていた。
魔力が底をついていた、なんてこと―――。

目覚めた時目に飛び込んできたのは男の顔。
…見覚えがある。
こいつは…。

彼の正体が判ったと同時、 は自分の身を守るように起き上がって臨戦体勢をとった。

「ジェイド…カーティス…!!」
「心外ですね、助けてやったというのに」

もっとも、助けたのはルークですが。
そう付け足してその『ジェイド・カーティス』はポケットに手を入れた。

「助けた…?」

どういう事だと が聞くより先、ジェイドは言った。

「貴方が仲間であるはずの奴らに殺されそうになったところをルークの持ち前の正義感で助けられたんです」

ルーク…。
あのファブレのか。

「私としてはくたばって欲しかったのが本音ですね。 もう会いたくもないと思っていましたから」
「でしょうね」

当たり前のようにジェイドに言葉を返す

「…その様子では、既にフォミクリーからは離れたみたいですね」

その言葉に、さらに は顔を歪める。
もう出会うこともないと、そう思っていた。
そう―――彼と。

「それよりもまず先、お久しぶりです、 博士」
「こちらこそ、ジェイド・バルフォア博士」

互いにふっと笑ってその緊迫した空気が一瞬にして崩れる。

「今はバルフォアじゃなくカーティスなのですが」
「仕方ないじゃない、20年来の付き合いよ?」
「あぁ、懐かしいですねぇ」
「全然懐かしんでないでしょう」

いえ、懐かしいですよ?
そうジェイドが言って、 は呆れる。

「本当に懐かしく感じます」
「本当かしら?」
「本当ですよ」

そう言って、ジェイドは の座っているベッドへ乗る。

「私が諦めた貴方への思いも」

の頬に手を添えてジェイドは言った。

「そのまま諦めればよかったじゃない」
「そうはいきません、一度そう思ったことは中々消えないものなんです」

深層心理から、消えることなど。
押し殺した意識の中でその意識が動き出し表に表れる。

「貴方が無事で、何よりです」

そう言って優しく を抱きしめてくれるジェイドの温もりが、とても懐かしく感じた―――。

BGM:THIS ILLUSION(M.H.)
2006/04/20