Gloria

教会の中にいつも居る少女。
彼女は修道女というわけではない。
孤児として牧師に拾われた少女だった。

「…また、お掃除ですか」

その声に少女は手を止めて振り返る。

「…カーティス大佐…」
「公務以外ではよしてください、と言ったでしょう」

ほら、今は軍服は着てませんよ?
そういうと少女がすみませんと言う。

「ジェイド、どうしたんですか?」
「いえ、長期任務の前に一息を、と思いましてね」

長期任務―――。
となると、彼は暫くの間ここに訪れなくなるのか。
そう思うと、どうしても寂しくなる。

「… 、そんな顔をしないで下さい」
「―――!!!」

はっとして顔を上げてジェイドを見る。

そんな顔を、していたのか―――?
そう疑問が過ぎると、彼はそれを読み取ったかのように言う。

「していましたよ。とても寂しそうな顔を、ね」
「え―――…」
「仕方ありませんよ、仕事ですから」

肩を竦めて見せるジェイド。
は申し訳無さそうな顔をする。

「そんな顔をしないでくださいよ」

こうして最後にと思って に会いに来たのに…。
余計心配になる。

「発つのはいつ頃…」
「明日、ですかね」
「明日…」

きゅっと服を握り締めて は紡ぐ。

「…ジェイド」
「?何か」
「私、ジェイドがちゃんと戻ってくるように応援してるね」
「―――。 …有難う…御座います、

ふわりとジェイドは微笑んで、それから の左手を手に取る。

「ジェイド?」

が呼びかけてもジェイドは反応をしないまま の薬指に指輪をはめた。

「―――!!!」
「約束です」

私が帰ってくるという。
そして。

貴方を愛している、という。

「ジェイド…」
「貴方の家柄が何であろうと、私は気にしません。家に何を言われようと、私は貴方しか愛しませんから」

そういって、 の先程指輪をはめたその手に口付けを落とす。
それと同時、教会の鐘が鳴った。

「まるで私達を祝ってるかのようですね、 ?」
「な、何言ってるのよジェイド…!!!」

赤面して、けれども嬉しくて、 は目を逸らす。
さらに追い討ちをかけるかのようにジェイドは言う。

「この任務から私が帰ってきたら、私と結婚してくださいますか、 ?」
「…!」

やはり、この指輪の意味はそうだったのか。
は美しく元気な花のように微笑んだ。

「勿論、喜んで」

 

貴方が戻ってくるまで、ずっと、ずっと。
栄光の歌を、歌い続けましょう。

貴方が戻ってくることを祈って。

2006/04/25

グロリア。栄光の賛歌。