ガラクタ。

「…お前はガラクタだ…!」

そういって、少年は『それ』に譜業をぶつけた。

 

「…上手くいかないな…」

そう呟く少年。
外見に合わず落ち着いた雰囲気を持つ少年、ジェイド・バルフォア。
俗のバルフォア博士。

彼は、とあるレプリカを作成しようとしていた。
だが、作れど作れど、何か『それ』とは違う。
声も、姿も同じだというのに。

けれど、違った。

「何だ…何が足りない…」

それに必死になっているうちに、大切なことを忘れている、なんて。
彼は気づいていない。

「あいつが…あいつはどうすれば…」

戻ってくる―――?

何が足りない?
彼女を作る為に必要なデータや技術は全て揃っているはず。

何故、彼女とは違うものが出来る?

 

「…ダメだ…」

何度やっても失敗する。
使い物にならないレプリカばかりが出来上がる。

「僕が欲しいのは…お前なんかじゃない…」

八つ裂きにされた『それ』を見下してジェイドは言った。

 

あぁ。
何故だ。
何故、 が作れない?

「…ジェイド」

幻聴か―――。
ベッドに寝っぱなしの彼女がここに居るはずなんて無いのだから。

溜息を付いて、それから背伸びをして後ろに反った。
丁度、その後ろに。

「っ… ?!」
「えへへ、来ちゃった」
「えへへ、じゃない!… っお前…外出歩いて大丈夫なのか!?」
「うん、今日は気分も良いし体調も良いんだよ〜」

元気だよーとジェイドに言いながらにこにこと笑っている
そんな彼女を、守りたいとそう思って。

彼女が死ぬことが判っているのなら、全く同じ彼女のレプリカを作れば良いと、そう思って。
でも中々、上手くいかなくて。

「…ジェイド?」
「… 、人間になるために必要なものって、何だと思う?」

レプリカが完成しない理由。
それが何か判らない。

だから遠まわし気に彼女に聞いてみた。

「やっぱり…感情、とか?あ、心かな?人それぞれ考えてることって違うし…。もしも外見が似てる人がいたとしてもそれまで生きてきた時間とか、考え方とか、全然違うよね」

―――なんだ…、そういう、こと、か。

あっさりと、答えは出た。
『彼女』を作るうえで足りなかったもの。

それは、彼女自身の記憶。
心だ。

(無理じゃないか…そんなの…)

全く同じなんて、作れるはずが無い。
けれど、それを作りたいとも思ってしまう。

自分と の記憶が無いなんて、居ても嬉しくない。
だから、記憶を持ったレプリカを―――。

 

「作れるはずなんて、なかったんです」
「…そんなこと考えてたの、幼少ジェイドは?」
「それは貴方のためを思ってなんですけど…」

『彼女』はあれから回復していった。
それは医者も親も予期しない展開で、あっという間に彼女は普通の人間と変わらない、寧ろそれ以上頑丈になったのだ。

そして、今に至る。

「私も正直信じられないんだよー?」
「そうして元気に過ごせているのが、ですか」
「うん。だって、本当に死ぬんだろうなって思ってた」
「縁起悪いですから死ぬなんていわないで下さい」
「だって仕方ないじゃない?本当にそう思ったんだもの」

ぷくり、と頬を膨らます『彼女』にジェイドは笑った。
彼女が生きてい良かったと心底思いながら。

BGM:ラック(ポルノグラフィティ)
2006/04/29

失敗レプリカ…悪い言い方ですが、それは子ジェイドにとっては『ガラクタ』だったんじゃないかと。