虚ろな体温

「…」

雪が、窓越しに降っている。
後方から小刻みに紙をめくる音がする。

眠い―――。
そう感じるのは、外が寒いからか。
それとも―――背中から感じるその暖かさのせいか。

「…む…ぅ………」

眠たくなってきた目を擦るとそのほんの少しの動きに気付いたのか彼は本のページをめくるのを止めた。

「… 、睡眠不足ですか?」
「いや…そういうわけじゃないんだよ…」
「じゃぁ、何故?」
「―――眠いの。兎に角眠くて」

再度目を擦り、それから小さく欠伸をする。

「…暖かいから、かな」
「何が」
「ジェイドと背中合わせにしていると、」

とても、とても暖かくて。

「貴方が、冷酷な人だと言われていても、この暖かさは紛れもなく貴方のもの」

その貴方の温もりが、とても、優しくて。
そう言って、 がもう一度欠伸をするとジェイドが言う。

「――― 、寝ますか?」
「ずっと、こうしていたい、かな…ぁ、ふ…」

ジェイドは暖かいんだもの。
そう言うと、ジェイドが笑う。


「何?」

振り向くと、目の前が暗くなる。
丁度ジェイドの肩辺りに顔が当たっていて、それが『抱きしめられている』のだと理解したとき、それを図ったかのように彼は言った。

「安心して寝ていてください。こうしていれば、貴方を襲う狼から、守っていられる」

そして、と続ける。

「貴方が、私の体温を感じていられるでしょう?」

その言葉に、 は頬を僅かに高潮させながら言った。

「―――有難う、ジェイド…」

 

貴方は、冷酷な人なんかじゃない。
本当はとても暖かくて、優しい人。

BGM:まほろば○△
2006/06/05