雲の上の、頂点に立つ

「…ジェイド」
「何か御用でしょうか、 ?」
「『何か御用でしょうか』、じゃないわよ。その嘘ッ面、直してって言ったじゃない」
「すみません、どうしてもこれが癖になっ―――」
「せめて私の前だけではその作った顔は止めて」

ジェイドの声を遮るように は言う。
貴方がそういう顔をしているの、嫌い。
作った顔なんて嫌い。

―――」
「そのままの、ありのままの表情を私に見せてくれれば、私はそれで良いの。貴方が作った顔をするのは、軍属として働いているときだけにして」
「…わかりました…、 が言うのなら」

ふわり、とそう笑った顔。
その顔が―――、彼の本来の顔。

…」
「何、ジェイド?」
「私からも、御願いがあるんです」

珍しいわね下手に出るなんて?
そう言うと珍しく無いでしょう?と返ってくる。

「貴方の笑顔を、私だけのものにしたい」
「1世紀早いわ」

少しばかり背伸びをして、ジェイドの額を人差し指で小突く。

「貴方が、本当に私の前で作った顔でなくなったその時。その時まで、私の笑顔は貴方だけのものじゃない」

だから、努力をして。

「私の笑顔を貴方のものにしたいのなら、それ相応、努力しなさい」
「… のためなら、頑張りますよ」

もう一度、彼は笑った。
けれど、その顔は、やっぱりいつも通りの作った顔だった。

「まだ、1世紀以上早そうね―――」

貴方に、私の笑顔を独占させるのは。

BGM:小説のように(ポルノグラフィティ)
2006/06/05