凍てついた。

あぁ、また、だ―――。
遅かった―――。

「… っ…!」
「…ジェイ、ド…」

彼女が伸ばした手。
それを包み込むように私は、握り締めた。

 

「……………もう、5年も前の話、ですね…」

彼女は女性軍人の中で戦闘センスがずば抜けていた。
だから良く戦に駆り出されていた。
それはたまたま、ジェイドと一緒の任務だった。
そのとき、彼女は―――熱を、出していた。

それに誰もが気付かず―――いや、彼女の隠し方が上手くて、誰も気付けなかった。
それでも彼女は戦い続けていた。
だが、やはり病人であることには間違いは無い。
いつもなら冴えているその技も、いつもに比べれば格段に弱くなっていた。
そう気づいた時には既に、遅かった。

「…彼女は、いつもに比べて集中力が欠けていた…。当たり前です、熱が出ていたんですから」

だから、背後からの敵の攻撃に気付くのが遅かった。

「…そうして、彼女は…」

崖から、突き落とされた。

「…幸いだったのは、其処まで高くなかった、ということでした…」

けれど。
だけど、どっちにせよ彼女は…深い傷を、負った。

「…即死ではなかった。けれど、致命傷、だった」

結果、彼女は死に至った。

「…出発する前、彼女が熱を出していることに私が気付いていれば…」

彼女は今も生きていただろうに。

BGM:誰そ彼(片霧烈火)
2006/07/17