あんなに一緒だったのに

「…ジェイド」

愛しい者の名を、呼ぶ。
愛しい者がいつも使っていた部屋で。

「ジェイドぉ…」

彼は、返事をしない。

それは何故か。
―――この場に彼は居ないから。

「なんで…なんでよ…っ」

死んだと。
そう報告があったのだ。
軍人である以上戦いに巻き込まれるのは当たり前のことだ。
それを判っていても―――どうしても。

「あれ、 ?」
「へ、陛下…!」
「はっはーんさてはジェイドが居なくて寂しいんだな?可愛いジェイドならいるぞー」
「ブウサギは御免です!!!」

そういうなり は走り出していく。

「…あ、言い忘れた」

ピオニーはぽつり、と呟いた。

「ジェイド、生きてるんだけどなぁ」

 

「はぁ…」

ベンチに座りながら は溜息を付く。

「…どうかしたんですか?」
「―――!!!」

隣を勢い良く向く。
その反応にビックリしたのか、黄土色に近い長い髪の女性は少し引く。

「あ、すいません…。何か困っているようでしたので」
「…まぁ、確かに困ってるといえば困ってますね。でも…もうそれは…叶わないですから」
「…―――…」

マルクト軍の方だと思いますが、違いますか?
そう問われてそうですが、何か?と は聞き返す。

「いえ、仲間にマルクト軍の方が居る者で」
「ってことは…旅人ですか」
「そうですね…」

「おーいティアー!」

遠くから女性を呼ぶ声がする。

「名前、ティアって言うんですか?」
「えぇ。ティア・グランツです」
「あ、私は です。また何かご縁がありましたら」
「えぇ、そうですね」

にこり、と女性―――ティアが笑い、彼女を呼んだ人物の元へと彼女は走っていった。

「…仲間、ねぇ…」
「…仲間ですか」
「…あぁそういえばそんな言い方した奴がいたっけなぁ…」
「そうですねぇ、それを言ったのは私ですねぇ」
「そうそう…ってえぇえ!?」

ばっと振り向く。(二回目)
そして。

「…ジェイド…?」
「ご無沙汰してます、

ぺた。
ジェイドの顔に己の手を伸ばす。

「…本物…?」
「私以外に誰か思い当たる人が居るんですか?」
「こんないやみったらしい口調の奴は他にはいない。…っ!!!」

ぱんっ!
の平手打ちがジェイドの頬に決まる。

「こんの…馬鹿者っ!!!!」
「何で私が平手を食らわなければならないんですか…」
「生きてるなら連絡ぐらい寄越せ馬鹿!!!」

涙が溢れてくる。
押えきれない。

「心配、したんだから…っ」
「それは…すみませんでした」

連絡を寄越せる状態ではなかったもので。
お前なら死んでも連絡ぐらい出来そうだ。
それは流石に私でも無理ですよ。
いや、無理くないね。
言葉の使い方、間違ってますよ。
それは置いといて、生きてるならいいんだ…。

生きているなら。

2006/04/01