いつか会えたら

カーティス家に養子として、ジェイドは旅立つ。

「いつか、また会えるのかな?」
「会えるよ、きっと」
「本当に?」
「本当」
「じゃぁ、いつ?」
「いつか、だよ」
「いつか、必ずだよ?」
「うん、必ず」
「本当に?」
「本当だよ」
「絶対だからね?」
「絶対だよ」
「じゃぁ、いってらっしゃい、ジェイド」
「うん、行ってくるよ、

 

 

 

それから、もう何年なんだろう。
私は軍人ではなく研究者になった。
大雑把に言えば、軍人に当てはまるのかもしれないけれど。

ジェイドが禁術としたフォミクリーではなく。
フォニムの研究者。

けれど、ジェイドと会うことはなかった。

もう女性と、そう呼べる年齢になって。
未だに、ジェイドのことが好きで。

けれど。

あの時のジェイドは、私の記憶。
今のジェイドは、私の記憶のジェイドと違うのだろう。

!」
「ね、ネフリー!? 如何したのそんなに慌てて…」
「兄さんが…兄さんが帰ってきたの!」
「―――!! 本当!?」
「本当よ!後で のところにも来るって!」

あぁ、もう。
この日をどれだけ待ちわびただろうか。
もう、待ってなんか居られない。
はその場を飛び出した。

待ってなんか居られない。
早く会いたい。

 

「なぁー早く宿行こうぜー」
「まぁ、もう少しの辛抱ですよ」
「大佐、何かあるんですか…?」
「そうですね、ちょっと紹介しておきたいフォニム研究者が居るんですよ」

フォニム研究者の、あの子を。

「紹介しておきたいフォニム研究者って…?」
「私が答えるのが面倒なフォニムに関する質問は全て彼女に答えてもらおうかと思いまして」

彼女に答えてもらおうかと思いまして。

「か、彼女ぉおおお!?」
「何ですか、研究者が男だと思っていたんですか」
「大佐が性別を言わないからですよぅ」
「はっはっは、別に構わないじゃないですか」

そう笑っていると、視界の端に『彼女』に似た女性の姿が映る。

「… !」

名を呼ばれて、彼女は振り返った。

「ジェイド…!!!」

彼女もジェイドの姿を確認するとジェイドたちの方に走ってくる。

すっ、と。
ジェイドが腕を広げて。
それに飛び込むように はジェイドに抱きつく。
その光景を、ルークたちは呆然と見たり顔を赤らめていたり様々だった。

「待ってたのよ会えるの!」
「ネフリーに聞いて我慢できなくて出てきたんでしょう?」
「あら、口調変わっちゃったのね」
もですけどね」
「でも、それでもね。貴方を好きなのは変わりない。やっぱり私が好きなのはジェイドなんだって」
「私もですよ、 。ですが…後ろのギャラリーをどうにかしてからそういうことは言いましょう」

そういって後ろを指差すジェイド。
それにつられて後方を見る。
そして、 の顔は徐々に赤くなってゆく。
居た堪れなくなって、己の顔を埋める。

「ご、ごめ…ん…」
「いえ、嬉しいですからお気になさらず。…後で行きますから待っててください」

最後をぼそっと の耳元で囁いて。
その言葉に、 は頷き、逃げるように帰って行った。

「…やれやれ、予定外です」

そういうジェイドの顔は嬉しそうで。

「というわけで、皆さんは先に宿に。そこの突き当たりです」

では私は用事がありますのでこの辺りで。
やけににこやかに35歳の大佐は去っていった。

 

 

「…
「ジェイド!」

その声はとても嬉しそうで。
駆け寄る をもう一度抱きしめて、言う。

「…約束、覚えていますか?」
「…また会えたときには」
「結婚しましょう、と」

けれど、今すぐにはできない。

「この戦いが終わったら」
「私はいつでもいい。ジェイドが居るなら」

その言葉に、ジェイドは笑みを溢して に口付けた。

2006/04/02