空を仰ぐ

あぁ、なんて空はこんなに青いのか。

澄んでいる。
綺麗過ぎる。

「…ガーイー」

その声の主は、マルクト軍服に身を包んだ女。

「何だ?」
「あたし暇なんだけどさ」
「いや、俺も暇だよ」
「抱きついて良い?」
「何で」

呆れて返すと、彼女は不貞腐れる。

「暇だから」
「俺が女性恐怖症なの判ってるだろ」
「うん、だからガイをからかおうかと思って」
「嫌な奴だな…」
「そうね、あの鬼畜眼鏡と一緒に居たからでしょうね」

移ったのよ、きっと。

「それだけ長い間、あたしはアイツの副官だったから」
「嫌でも移る、か」
「そう。だから抱きついて良い?」
「ダメだって」
「えぇー」
「俺が失神するから」

これでも彼女はガイよりも年上で。
だけどどうしてもガイよりも年下に見える。

「…ガイの意地悪」
「意地悪なのはキミだろう」

ガイがそういうと、両者同時に笑い出した。

あぁ、空に浮かぶ雲のように。
この時間はなだらかだ。

メールマガジン配信:2006/05/03