タイムリミット

彼と出会ってどれくらいの時が流れただろう?
何度も時間を跳んだ。
彼の過去も知った。
彼に近付いていけているような気がして嬉しかった。

仮面を被ったまま、木の幹に寄りかかり、まるで寝ているような彼。
彼のことだから、寝た振りかもしれない。

「ジューダス」

彼の名前を紡ぐ。
起きてる?と一応聞いてみる。
すると、言葉は直ぐに返ってきた。

「何か用か」
「特に何も…カイルたちが買い出しに走ってっちゃって暇なの」

暇つぶしに散歩をしていたら彼を見つけたんだ。

「鍛練でもしていたらどうだ?為にはなるぞ」
「仰る通りなんですが…やっぱり、遊んだりはしたいですねぇ」

なら僕に構わず遊んでこい、と言うジューダスに一人じゃ詰まらないんだけど、と言うとだから何だ、と間髪を入れずに言葉は返ってきた。

「一緒に出かけない?」
「断る」

笑いながら即答される。
何も笑って即答しなくても良いじゃないか。

「冗談だ、行くぞ」
「わはーい!」

変な歓声を上げて、踵を返す。
それに、彼が呆れたのが判った。

「いつまで、こうしていられるかな?」

ふ、と振り返って、彼に問う。

迫る先の騒乱。
誰にも知られないまま終わる、騒乱。

「僕が知るか」
「でーすーよーねー」

はぁ、と短い溜息。
この幸せな時間が、いつまで続くんだろう。

「…消えないでね」

無理なことだとわかっている。
既に死した人間にそんな事を言うなんて。

でも、望んでしまう。
あなたが好きだから。

タイムリミットまで、あと少し。

BGM / 蛹(あさき)
2008/03/22