観測者 (1/2)

「……お前、には甘いんだな」
「ああ、それは自覚している」
「自覚あったのかよ」
「……あるさ。俺が気をゆるしているのは、ハルトと…… ぐらいだからな」
「……なんで、あいつには?」
「お前に説明する必要はないだろう。……、買いすぎだ」

 二つの手提げを持って現れたに、カイトの口元が緩む。こいつ、に向けている顔が緩んでるのわかってんのか、わかってないのか。
 片方持つと言ったカイトの申し出をが断る。カイトも引かない。結局ひとつだけカイトが持って、歩いて帰っていった。

 だ。カイトが来たことに気づいた直後、顔つきが変わった。ぱっと明るくなったんだ。こいつら、やっぱりそういう関係なのかと疑わざるをえない。
 さっきまで「神代くんは学生だもの、お姉さんが奢ってあげるわ」なんて言ってた女なんだが……、こうも変わるんだな。女ってのは。

 それから数日して、学校での姿を見かけた。今日は『教師』の、というわけか。テスト用紙を持って、職員室にでも戻るのだろう。

 数日の間、カイトとはどういう関係なんだ、ってどうしてあの時聞けなかったのか、ずっと後悔していた。俺らしくないとはわかっていたのだが……一度気になり始めたことを、途中で中断するのはなかなか難しいことだった。
 それもこれも、俺がのことをそういう対象で見ているからなのだろう。

 そこではたと気づく。は璃緒のことを知っている。調査しているとは聞いたが、フェイカーが敗れバリアンと敵対している今、あいつは一体なんの調査をしているというんだ……?

「お、シャークじゃん!」
「なんだ、遊馬か……。ああ、そうだ、センセ今日いるんだな。さっき見た」
「ああ! なんか、この間休んだ時、本業の研究をしてる……とか言ってた。二つ仕事してるって大変だよなー。っと、そうだ、デュエルの約束してるんだった! じゃあなシャーク!」
「ああ、じゃあ……っと、ちょっとまて遊馬」
「な、なんだよ?」
センセに話があるんだが、どこに行ったか知らないか?」
「うーん……ごめん、わかんないや! あっ!でも多分職員室にいるとおもうぜ!じゃあな!」
「ああ、サンキュ、気を付けろよー」

 ばたばたと走っていく遊馬を見送って、諦めて帰ることにした。職員室にはいるだろうが、一部の人間しか知らない話を、公共の場でするわけにはいかない。
 本当は、直接連絡すればいいのだが、あいつの連絡先を知らないし、偶然を待つか、カイトに連絡をするかしかないのだ。それはちょっと、というか、かなり、ご遠慮願いたい……が、調査に関しては、カイトも知っているのかもしれないな。連絡してみるのもありか。

 カイトに連絡を入れてあいつが調査していることはなんなのかと聞いてみると、カイトは目を伏せて呆れた。

のやつ、お前に言ったのか』
「内容までは聞いてねえよ。ただ、調査のために俺に近づいたと言っていたんだ」
『わかった、ならうちにこい。も呼んでおく』
「ああ、よろしく」

 通信が切れるとすぐに俺はバイクに乗り、ハートランドを目指した。

 → 観測者 2/2

2013/01/04

シャークがカイトのことを呼んだことってあったっけ……と数時間悩んだ(アニメもいくつか遡ってみた)挙句、WDCも終わったし、なんだかんだしっかりしてる人だからカイトのこと名前で呼んでるだろきっとという判断をした。
それと、カイトの家ってハートランドの中心部の塔でいいんです、よね……?