HappyDays

「こんにちは、ヒョウタさん」

 その声を、僕はいつも楽しみにしている。
 ポケモントレーナーとして旅を続ける彼女がこのクロガネにやってきて、こうして僕に声をかけてくれること。
 これこそが、至福だと今は思う。

「こんにちは、ヒカリちゃん」
「今日はジムにいたんですね。てっきり炭鉱にいるかと思ったんですけど」
「一応ジムリーダーだからね、居ないと居ないで問題あるかな、って。午前の内に炭鉱には行ったからさ」

 こうやって他愛もない会話をする。それだけでも、良いんだ。今は。今は。

「そういえば、この間ナタネさんに会いましたよ。ハクタイの森で草ポケモンと戯れてました」
「ジムリーダーなのにいいのかな、それ……」
「それはヒョウタさんだって同じじゃないんですか?」

 くすくすと笑いながら彼女は言った。否定は出来ない、かもしれない。
 けれど、ナタネは僕と違って両立をしているわけでもないから余り姿を消しているのは良くないと思う。

 彼女の顔はとても良く変わるんだ。くるくる、くるくる、と、とても。

 今は、こうやって話をできるだけでも良いんだ。少なくとも、そのときの君の意識は僕に向いているはずだから。だから今はそれだけで良い。

 それだけで、僕は幸せだから。

2007/10/09
2015/05/23加筆修正