のばせない、とどかない

手を伸ばそうとして、止まる。それから、目をつむりながら手を戻した。
ダメだと判っているから、だから、俺は自ら手を伸ばさないと決めたんだ。

「ユーリ!」
「はいはい、何だいお姫さん」

判ってる、お前が俺に好意を持ってるのは。
判ってるけど、俺はそれに応えないようにしてる。
いや、知らないふりをしている。

だから俺は、本当の思いを隠して、お前の隣にいるよ、エステル。

2009/03/12